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2010年12月13日月曜日

駆動系脱着作業もろもろ

久しぶりに長文です。(笑)

今更ではありますが、PCXの駆動系脱着作業を、サービスマニュアルでは触れていない(というか触れられない)小技も交えて、ご紹介させて頂きますね。
スクーターの駆動系メンテナンスって、『アホか』と思えるほど工賃かかります。これは、バイク屋さん的には当たり前の事なのですが、せっかく燃費が良いとかお財布に優しいとか思って乗っているユーザにとっては、非常にもったいないんじゃないのぉ~?と、僕は思ってしまうわけです。

考え方は人それぞれですが、一度バイク屋さんにお願いする工賃レベルで工具は揃えられちゃいますから、わかたく的には、せっかく愛着のあるマイバイク、特にスクーターなら駆動系くらいは自分で作業する事をお勧めしますよ。
特に技術はいりません。最低限、気を付ける所だけ押さえて、レッツトライざんす。
(注)ただし、あくまでイチ素人のお勧めです、自己責任でお願いします。あ、相談にはいくらでも乗りますよ。(^^ゞ

最低限、揃えておく工具等
  • プラスドライバー(2番)
  • ヘックス(6角)レンチ(面倒だからセットで買っちゃいましょう。4~8mmまで在れば十分)
  • ラチェットもしくはT型レンチ(ソケットに併せて)
  •  8mmディープソケット
  • 10mmソケット(ディープの方が作業しやすいが、どっちでも大丈夫)
  • 19mm&22mmのメガネレンチ、又はソケット(ディープもしくは延長アダプター推奨)
  • シザーズホルダー(僕はデイトナ製)・・・3,000円少々(参考)
  • 39mmクラッチナットレンチ(僕はデイトナ製39/32)・・・2,000円少々(参考)
  • パーツクリーナー等の脱脂剤
  • モリブデングリス、もしくはプーリー用グリス
  • なんか、適当にハンマー
  • 【おまけ】お金に余裕があれば1~5kgくらいのトルクレンチ(万単位を覚悟)


● STEP-1 : サイドカウル取り外し(取り付け) 
ステップのゴムシートはポッチで止まっているだけなので、若干斜め上方に引っ張れば簡単に取れますから、写真は省略します。次に、上2枚の写真のプラスタッピングビス6本と、下2枚の写真中央各々の10mm頭のボルト2本、これらを外せばサイドカウルが外せます。
ステップ上のプラスタッピングは、一番外側に並んでいる5本(+前側(左上写真)1本)です。

サービスマニュアルには『外します』としか書かれていません(笑)ので、僕なりの外し方を少々。僕の場合は、まず後方(写真は右側)を引っ張って抜きます。次に、真ん中(写真左側)。どちらも、斜め下に引っ張るようにすれば、ポンっと外れます。前側にももう一つツメがありますが、この2箇所が取れれば勝手に取れてきますよ。
アンダーカウル側は差し込まれているだけですので、後は手前に引けばあっさり外れます。

取り付けは、最初にアンダーカウル側のツメを差し込んで、次に前側のツメか、真ん中のツメ、どちらかからはめて行くと楽チンです。成型個体差によって、やり易さが異なるので、やってみてやり易い方から、です。僕は、前から攻める派。(^^ゞ

ワンポイント トピック
・ 小さいツメが折れても気にしない。ビスでガッチリ止まるから大丈夫!(笑って済まそう)


● STEP-2 : ケースカバー取り外し(取り付け) 
これは見ての通りです。樹脂カバーがヘックス(6角)ボルト3本、ケースカバーが8mm頭のボルト10本です。ケースカバー前方の樹脂部分は、外さなくても大丈夫です。この作業でディープソケットが無いと、外周部はやり辛いだけで何とかなりますが中心部の2本が外せませんので、ご注意を。

さ、これで駆動系(ドライブ&ドリブンプーリー)が姿を現しました。
取り付けは、単純に逆手順ですので問題ないでしょう。ちなみに、ケースカバーのガスケットは再利用するなと書いてありますが、メタルガスケットなので、個人的には全く問題なしの再利用です。

ワンポイント トピック
・ ケースカバーのメタルガスケットは破損するまで再利用(自己責任) (^^ゞ
・ 位置決めピンが2箇所あるので、最初に外すときに注意してチェック、以後気をつけて。


● STEP-3 : ドライププーリーフェイス取り外し(取り付け) 
さて、このあたりから専用工具の出番ですが、全く難しい面はございません。シザーズホルダーでプーリーフェイスを押さえて、センターの22mmナットを緩めるだけです。はい終了。簡単ネー。
PCXの場合、デイトナのシザーズホルダーなら、測ったようにセンタースタンドに引っかかって、良い感じのストッパーになってくれます(笑)。あー、楽チン。(^.^)
ドライブ側は、このナット1個だけで、すべて外れます。

取り付けに関しては、軽くウンチクをお伝えします。神経質じゃない人は無視して下さいな。単純にフェイスを取り付けてナットを締めこんでも、一度エンジンかけてプーリーを廻してしまえば、ベルトは収まるべき所に落ち着きますが、締め付け時には当然駆動系が回転している訳ではないので、不要な圧力がベルトにかかっている事になってしまいます。

うーん、こういうのが気持ち悪いんですねぇ、僕は。
なので、僕の作業手順としては、

1.プーリーフェイスのナットを手締め程度の仮止め
2.左写真のようにベルトを絞ってドリブン側のベルトを落とし込む
3.ドライブ側のベルトの遊びを大きくしてフェイスを奥までしっかり押し付ける
4.押し付けたまま改めて手締め

コレを、しっかりフェイスがプーリーボスにくっついたと納得できるまで複数回繰り返しています。最後に、しっかりと締め付けてやればOKですね。締め付けトルクに関しては、最後に一言、で。

さてさて、それでは特にドライブプーリーのメンテが不要の場合は、STEP-5へGO。

ワンポイント トピック
・ 浅いソケット+ラチェットだと、シザーズホルダーに干渉する場合があるので注意!
・ ベルトが苦しそうだと思うなら、優しく締めてあげて下さい。m(__)m


● STEP-4 : ドライブプーリーメンテナンス 
すみません、良い写真がなくて、Dr.プーリー紹介時の写真流用です。ドライブプーリーフェイスを取り外した後、プーリー本体は左写真で見えてる側がエンジン側になります。指を裏側に差込み、一式丸ごと取り外しましょう。そうしないと、ウェイトローラー等がボロボロ落っこちてきて最悪です。
写真のような状態で置いて(ただし、プーリー面に傷は付けない様に!)、一つずつ確認しながらバラせば、構成は簡単に理解できます。一度やっちゃえばもう大丈夫。

ドライブプーリー交換やウェイトローラー交換だけなら、後はSTEPをさかのぼって取り付けて終了~。やってみればちょろいもんですよ。注意点としては、組み付け時にペーパーウエス等(ティッシュでも、まあ良し)に脱脂剤を吹き付けて、プーリー面を確実に拭き、脱脂します。これをやらないとベルトが滑りますので。


さてさて、せっかくですのでグリスアップに関して軽くウンチクを。(^^ゞ

両方の写真を見て解ると思いますが、ドライブプーリーは密閉されている訳ではありませんので、ドライブプーリー周辺のグリスを着け過ぎると、、、想像つきました?飛び散ってすごいことになります。最悪の場合、プーリー面やベルトに付着して滑る原因になります。掃除も大変(汗)

そんな訳で、プーリーボス・ランププレート・プーリーのWRスロット・WR本体等のグリスアップは、塗るというよりはコーティングするといった感覚で行うことを推奨します。分量がつかめない場合は、ちょっと面倒ですが、一度組み付けてちょこっと走って(一回全開加速程度で十分)、再度開けてみれば、どれくらいグリスが残っているか、どれくらい飛び散るのか、概ね分量が掴める筈です。

一度解ってしまえば大丈夫ですので、不安な人は面倒ですがチャレンジしてみてください。

ワンポイント トピック
・ グリスアップはコーティングする感覚で。
・ プーリー面は、取り付け直前にしっかり脱脂!油分が残っていると滑ります。
・ ウェイトローラーは大抵向きがあるので注意!大体、取説に記載されていますが、念のため。


● STEP-5 : クラッチアウター取り外し(取り付け) 
クラッチアウターも、ドライブプーリーフェイスと同様にセンターのナット(19mm)だけで取り外せます。おー、そういえば、ちょうどこの写真では、センタースタンドが3本目の手の役割をしてくれているのが、良くわかりますね~。良い感じでしょ。(笑)
アウターを外すと、後はドリブン側も一式で取り外せるのですが、、、その前に!

クラッチナットは車体に取り付けている状態で緩めておきましょう。お金持ちな人はインパクトレンチでバシュッと緩めちゃいますが、僕は一般人ですので(笑)
手法は右側写真でご確認ください。ハンドパワーでも廻せないことはないですが、ココは結構なトルクで締まっているので意外とパワーを求められます。なので、最初の1歩だけは、ハンマーを活用しています。瞬間的な力の掛かり方は、まさに、お手製インパクト(笑)

写真では、手を離していますが、実際にはシザーズホルダーを、外れないようにちゃんとクラッチに押し付けて、そんでもってハンマーで”ゴン”と1発。もしくは2発。少し動いてしまえば、後は楽にハンドパワーで回ります。
気をつけるべきは、ココでは緩めるだけ!1回転ほど廻しておけば十分です。

取り付けは、単純に逆手順です。

ワンポイント トピック
・ シザーズホルダーの安定が悪いので、スタンドや地面などの第3の手を有効活用。
・ クラッチナットは絶対にこの段階で取らない。取っちゃうとクラッチが発射します(笑えない)


● STEP-6 : クラッチ本体取り外し(取り付け) 
本来なら、ここでも専用工具が必要になると言われていますが、こちらはハンドパワーで大丈夫です!(笑)。一般男性のチカラがあれば問題なし。まず左側写真を見てください。

僕の場合、ですが、体勢としては左手と右膝を使ってクラッチを押し付けています。これで、問題なくセンタースプリングのテンションに勝てます。後は、クラッチナットをスルスルと外して、ゆっくりとクラッチを浮かせていけば、右側写真の状態に。これで、クラッチ、センタースプリング、ドリブンプーリーが分離しますので、後は各々の作業に取り掛かれます。

【追記】
取り付けを書いていませんでした。(^^ゞ といっても、書くまでもなく逆手順です。クラッチナットはこの段階では締めれる範囲までにしておいて、STEP-5に戻って車体に取り付けている上体で本締めした方が、しっかりと締めやすいのでお勧めです。

ワンポイント トピック
・ 買わなくて済む専用工具は買わない。少なくともクラッチコンプレッサーは要らない。
・ 多少右膝が痛い方は、ウエスを挟んで対処 (^^ゞ


● STEP-7 : ドリブン周りの作業について 
申し訳ないのですが、写真がございません。ただ、STEP-6まで出来れば、後は単純な部品交換作業ばかり(クラッチスプリング除く)ですから、ムーバブルドリブンフェイス交換も、問題なく可能です。グリスアップ等の注意点程度はまとめて置きますので、ご参考までに。m(__)m

ワンポイント トピック
・ クラッチスプリング交換は、、、ちょっと面倒です。いずれ紹介します。
・ センタースプリングは単純交換
・ クラッチも、Assyなら単純交換
・ トルクカム、スライドピン廻りはOリングでシールされます。ぐっちょりとグリスアップしませう。
・ こちらも、組み付け直前にプーリー面はしっかり脱脂しましょう。


● 補足 : 締め付けトルク管理について 
締め付けトルクって、本来きちんとやらないとダメです。なので、この話はかなり乱暴な内容ですので、その前提でお願いします。m(__)m

駆動系で使われているナット類を、ハンドパワーで捻じ切るのはまず無理でしょうから、ユル過ぎるという状況以外は、そんなに神経質にならなくても良いでしょうね。ただ、ケースカバー等のボルトは締め過ぎるとやっつけちゃいますから、ちょっと気をつける必要があります。

ということで、、、

駆動系は『ギュッと締める』でほぼ大丈夫です(これが乱暴なハナシってやつだ)。
ケースカバー類のボルトは、『手締め+もう一息』程度で止めておきましょう(乱暴2発目)。

ただ、どこかで機会があれば、一度はトルクレンチを触らせてもらう事を強くお勧めします。例えばケースカバー類の1kg前後のトルクって、ビックリするくらい緩く感じるはずです。また、駆動系周りのトルクも、一度体感すれば概ねのサジ加減は掴めると思います。
僕のトルクレンチで良ければ、いつでも触りに来てください(笑)

何を隠そう、僕自身トルクレンチ持っているのに、概ねハンドパワーで締めてます。はっはっは。
繰り返しますが、本当はダメなんですよ。(でも案外大丈夫だったりする。)

ワンポイント トピック
・ 心配ならちょっと強めかな?くらいで。
・ 緩めるときに難儀しないように、座面に軽くオイルを着けると良いです。

以上、長文乱筆で大変失礼致しました。くれぐれも、自己責任でお願いします。m(__)m

11 件のコメント:

  1. 御世話になります。これは参考になります。時間と少々のお金に余裕があるのなら自分でやった方が良いですよね。(心配性や自信がない方は別ですが)自分も先日のパーツ交換(マフラー、トルクカム等)で、諭吉さんが10分の1になって帰ってきました。(笑)次回以降は・・・考えてしまいます。

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  2. 参考までにと言うか、パターンの1つとして戯言を・・・(笑)

    クラッチの分解(ナットの緩め方)ですが、自分や周りの人間は一式をクランクケースから取ってレンチをあてがい、それを縦にして(両手で挟んで拝むような形)レンチを緩む方向に地面に当てて緩めてそして地面に置き、両足のつま先で押さえ付けながらナットを外してますね。

    締めるときは逆ですね、両足で踏みつけながらナットを締めて、最後の増し締めはレンチを地面に叩きつけて締めます。

    機会があったらお試しください(笑)

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  3. > のぶ さん
    小技は人それぞれですので、ご自身でやられるなら、美味しそうな所だけ、ご参考までに。(^^ゞ

    > LUUFF さん
    ははー、地面インパクトですね(笑)
    その方が、手っ取り早くて、ちゃっちゃと作業できそう。。
    最後に叩きつけるあたりが、ナイスな感じ ♪

    参考になりました!ありがとうございます。
    次は、その手法でやってみまーす。(^.^)

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  4. はじめまして。みんカラからやってきました。
    過去の記事へのコメントすみません。あまりにも、私が探し求めていた情報が、完璧にまとめられていたので、感謝のコメントです。
    タイ純正トルクカムの交換にDIYチャレンジしようってことで、まず必要な工具をきめてました。

    6角と、19mmレンチはあるので、22と39mm、それと、シザーズホルダーがあればよさそうですね。
    2りんかんの10%セールで、週末にゲットしてきます。

    有効な情報、ありがとうございます。

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  5. > あきらさん
    はじめまして~、コメントありがとうございます。(^-^)
    時間が経ってわかる事も多くありまして、まず社外プーリー系は締め付けすぎると歪みが出るモノもあります、出来ればトルク管理はキチンとやった方が良いですので、意識を向けてみて下さいませ。

    また、トルクカムの作業に関しては、詳しくブログに載せていないような気がしますので、ちょっとだけ注意点を。とにかくトルクカムカバーの中はグリスで充填させる事と、カバーの外、Vベルト面等はキッチリ脱脂して油分を残さない事、この2点は十分気をつけて下さいませ。

    余剰グリスは、シャフト貫通部分に抜き穴があって、そこからニュルニュルと出てきているはずなので、最後に装着する時に、そいつを均してあげて下さい。

    こんなところで、ご参考までに。m(__)m

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  6. トルクカム に関する追加アドバイスありがとうございます。ひとまずこれから2りんかんへ行ってきて、工具をゲットしてきます〜
    トルクレンチは持ってないのですが、お値段が少々高いので多分、本日ゲットは難しそうです。

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  7. > あきらさん
    ご自分でやろうという意欲、素晴らしいと思います!(^-^)
    工具は、必要最低限以外は、地道に揃えていけばよいと思いますよ。作業がんばって下さいね♪

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  8. はじめまして、もんちと申します。 わかたくさんの記事とても参考になるので助かってます。ありがとうございます。
     ところで私もpcxに乗っているのですが、はじめてのスクーターで整備初心者です。走行20000kmを超えたので先日自分でウェイトローラーとドライブベルトを交換しました。しかし、初心者なのでちゃんと出来ているのか、心配です。乗ってみたかんじは特に変わったところはないように思います。
     で、グリスアップについてなんですが、つけちゃいけないところとかにつけたらまずいなぁ、と思って、どこもつけないで交換終了してしまいました。
    たとえば、ドライブ側とドリブン側の真ん中の長いシャフト?の部分とか、つけるんでしょうか。ここはつけちゃダメ、ここはつける、など、 メカに詳しくない私ですが、 どうぞ、よろしくお願いします。

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    1. もんちさん、コメントどうもです♪ お返事遅くなってすみません(^^ゞ

      グリスアップに関しては、ブログ本文内の『STEP-4』に書いた通りですよ。ただ、絶対的なルールが無いので難しいところですが、グリス無しでも大きな問題ではないです。逆に、ベルト削れカスの付着を避けるため、グリスは塗らないほうが良いという解釈もありますのでね。
      確か、純正のサービスマニュアルにはグリス添付はうたってなかったかと思います。

      という訳で、『ここに塗るべき』は、一概に言えません。
      擦動部分に油膜が形成されるのは悪いことではありませんのでね、上記のベルト削りカスの付着との兼ね合いを、どう判断するかは自分次第です。参考までに、僕は薄いグリス皮膜を作る感じで、グリスは使っていますです。

      でも、『これは絶対にダメ』は言い切れます。ベルト駆動部分にグリスが飛散したり付着するような事にだけはならないように、です。そこを主眼として作業されると良いかと。

      以上、ご参考までに~。 m(__)m

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    2. ありがとうございます。おかげで気持ちが楽になりました。
      (*^_^*)
      これからも「わかたく@モータースポーツバカ」楽しみにしております。

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    3. とんでもないです、こちらこそ、わざわざありがとうございますです。(^^ゞ
      またなにか確認したい事があれば遠慮なくどうぞ♪ とはいえ、僕もわかる範囲でしかお答えできませんけどねw

      ではでは、今後ともよろしくお願い致します。(^-^)/

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